イマバリ・パラビエンナーレは、単なる芸術祭ではありません。それは、アートを通して私たち一人ひとりが持つ「違い」を豊かな個性、楽しむべき魅力として再認識するための実践です。
私たちはお互いに違うからこそ支え合い、影響を与え合いながら存在しています。そんな共に生きる喜びを、アートの体験を通じて五感で育み、インクルーシブな社会のあり方を今治から手さぐりしていきます。
今回、2026年の本開催に向けたキックオフイベントとして、11月1日(土)・2日(日)に“プレ・イマバリ・パラビエンナーレ”を開催しました。
会場に現れたのは、縦6メートル・横3.5メートルの巨大なサッカーボードゲーム。 美術家ユニット KOSUGE1-16が作成したこの作品は、子どもから大人まで、障害の有無を問わず、誰もが同じ空間で楽しめるアート作品です。そこには、競うことよりも「共に楽しむ」ことを通して生まれる交流の風景が広がっていました。
遊びが自然に場をひらく
午前10時の会場オープンと同時に、最初にボードを囲んだのは来島会なかよし学童クラブのご利用者様。制作を担当した土谷享さんから棒の動かし方を教わると、一斉に、夢中になって選手を操り始めました。


その中で、とりわけ印象的だったのは、ある小さな男の子の姿です。大きなボードを前に声を出し、飛び跳ねて全身で喜びを表すその様子には、周囲の大人や通りすがりの人たちの表情が自然とほころびました。

立場や肩書きを越えて
巨大なサッカーボードゲームの前では、大人も子どもも、福祉関係者も地域の人も、みんなが同じ“プレイヤー”です。「がんばれ!」「今のうまい!」「わあ!すごいね」
自然に飛び交う声援や笑い声。場の空気は生き生きと揺れています。
大人が子どもに負けて思わず肩をすくめて笑ったり、ご利用者様と地域の人がハイタッチして喜ぶ姿が、あちこちで見られました。そこには、“勝ち負け”ではなく“関わり合う”ことの楽しさがありました。
このボードゲームの面白さは、思い通りにいかない“ゆらぎ”にあります。操作を誤ってオウンゴールしてしまう、ボールが予想外の方向に飛ぶ、そんな場面もしばしば。しかし、そのたびに会場には笑いが起こり、誰かが声をかけます。
普段なら“失敗”とされることが、ここでは笑いとつながりを生むきっかけになっていました。ゲームの中にある偶然や不確かさが、人と人の距離を近づけているかのようでした。

巨大サッカーボードゲームが熱戦の舞台となる一方、この装置そのものもまた、子どもたちの自由な表現のキャンバスになりました。
会場に用意されたのは、カラフルなカラーペンと、「イマバリパラビエンナーレ」の文字をかたどった段ボール。子どもたちは自分の好きなペンを手に取り、夢中になって段ボールに色をつけ始めます。


完成したのは、まるで呪文のような「イマフバリメフレパプライビエンナこくビ」!
予定調和ではない、最高にユニークな名前こそ、子どもも大人も、みんなが一緒に「体験」し、「共創」した、温かい「つながり」の証です。

完成したのは、まるで呪文のような「イマフバリメフレパプライビエンナこくビ」!
予定調和ではない、最高にユニークな名前こそ、子どもも大人も、みんなが一緒に「体験」し、「共創」した、温かい「つながり」の証です。
2日(日)には「はーばりーカップ」も開催。ビニールシートをガムテープで貼り合わせてつくるビブスは、カラフルなテープで彩られたり、チーム名や背番号が書かれたりと、チームの一体感が高まるオリジナルアイテムに大変身!そして、子どもたちが思い思いに色を重ねて完成したゴールキーパーは、新たなチームの一員として「はーばりーカップ」を盛り上げてくれます。


いよいよ試合がスタート!
それぞれのチームが互いに声を掛け合いながらボールを追い、延長戦にもつれ込む熱戦が続きます。ゴールが決まるたび、歓声が上がり、拍手が響き渡りました。優勝チームには木製トロフィーが贈られ、会場は笑顔と温かい拍手で包まれました。



この2日間、巨大ボードゲームを囲む人々の間に生まれた、“共に楽しむ”という体験から生まれるつながり。福祉やアートという枠を超え、互いの存在を感じ合える、温かい時間がそこにありました。
🌱イマバリ・パラビエンナーレとは?
イマバリ・パラビエンナーレは、来島会と、今治に暮らす人びと、そしてアーティストが一緒になってつくる、参加型のアートプロジェクトです。美術や音楽、ダンス、演劇、あるいはまだ見ぬ表現を通して、「共生」というテーマをまちの中で育んでいきます。
いま、わたしたちは「誰もが共に生きる」ことの難しさに向き合う時代を生きています。「違うこと」や「知らないこと」に出会うと、怖くなったり、距離をとりたくなったりすることもあります。けれど、もしその人を知ったなら。もし一緒に何かをつくったなら。
お互いが確かに“ここにいる”と感じられる瞬間が、きっと生まれるはずです。
アートは、違いを結び、想いをほどき、世界を少しやわらかくしてくれる力を持っています。その力を信じて、今治のまちで、あたらしいつながりと対話を生み出していく。それが、イマバリ・パラビエンナーレです。
まちのあちこちが舞台になり、誰かの思いつきからプロジェクトが始まり、アーティストも市民も、そして訪れる人も、一緒になって作品を育てていく。
2026年の本開催に向けて、地域の中にアートをひらき、人と人をつなぐ活動を進めていきます。ちがいが交わり、まだ見ぬ未来が芽吹くこの時間に、あなたも参加してみませんか?